田代旭美プロフィール

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筑前琵琶奏者 田代 旭美(きょくみ)

雅号名:田代旭美(たしろ きょくみ)
本名:田代真弓
筑前琵琶日本橘会師範
日本琵琶楽協会会員
跡見学園女子大学美学美術史学科卒業

大学では美学のジャンルより音楽学を専攻し、卒業論文の題材に琵琶を取り上げた事がきっかけで、平成5年より筑前琵琶を母方の祖母である久保旭栄に師事。

平成12(2000)年、師範免状取得

平成14年の紀尾井ホール『藤京の会』では、鳴物の人間国宝である堅田喜三久氏とも競演。
親子三代(祖母・叔母・本人)の競演が好評を博しました。
その他、平成15年のTBSホール『名曲鑑賞会』、をはじめ、日本琵琶楽協会定期演奏会、筑前琵琶日本橘会全国演奏大会、筑前琵琶連合会、などに定期的に出演させていただいております。
「船弁慶」、「北条時宗」、「黒田武士」ほか、勇壮な曲調を得意としています。

琵琶歌は一曲30分前後、と長いため、通常の演奏会では15~20分程度にアレンジして演奏するスタイルをとっています。
歌詞が文語調で難解なため、ミニコンサートではわかりやすい解説を入れています。
話術&弾き語りの演奏にはご好評をいただいております。

両親の郷里である、宮崎県都城市のあたりでは、家の新築の際に“音入れ”といって、入居する前に縁起の良い琵琶歌を演奏する習わしがあり(音で魔を払う習わしの名残でしょうか?)、依頼があれば演奏を行っています。
結婚式の際にも、「宝船」という七福神の登場する琵琶歌を、演奏依頼があれば快く引き受けています。
この場合、琵琶は格式の高い楽器であるため、可能な限り、“乾杯”の前に演奏させていただいております。
ドイツのハンブルクでは「黒田武士」、アメリカのシアトルでは「船弁慶」を演奏する機会に恵まれ、弾き語りという演奏スタイルにおおいに興味を持たれました。

琵琶歌は、語りです。
約1200年以上も前に異国から伝えられた形のままの木の楽器を、木の撥で弾きながら物語を語ります。
歌うわけでも、喋るわけでもなく、お腹から声を出して語る“ものがたり”です。本当は、肉声できいていただくのが理想(ステージではマイクを使いますが)。

琵琶は大変興味深い楽器で、5つあるフレットは“木・火・土・金・水”と呼び、響孔の形は三日月型。歴史には陰陽道との関わりもありそうです。
今昔物語集にも、“玄象”という大変素晴らしい名器である琵琶の次のようなエピソードが残されています。
それは、演奏者が下手だと怒って鳴らない、とか、内裏が火事の時には足が生えて逃げた、というもの。
魂を持つ楽器、なのかもしれません。
私は、祖母の教えるところを一番とし、出来るだけそのままの芸風を世に伝えたい、と思っています。

「あなたは、ずいぶんと懐かしい演奏をしますね」
これまで演奏後に頂いたお言葉の中で、一番嬉しかったコメントです。